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障害年金で日本年金機構が「カルテ提出」を求めるのはなぜ?

実際にどこを見ているのかを社労士が解説

障害年金の審査では、通常は「診断書」が最も重要な資料になります。しかし、審査の途中で日本年金機構や年金事務所から、

  • 「カルテを提出してください」

  • 「診療録の写しを提出してください」

  • 「初診時のカルテを確認したい」

と言われることがあります。

申請者からすると、「診断書を提出しているのに、なぜカルテまで必要なのか?」と不安になるケースも少なくありません。

実際には、カルテ提出が求められる場合、日本年金機構側はかなり具体的なポイントを確認しています。

今回は、障害年金の実務で「カルテのどこを見ているのか」を、精神疾患・身体障害を含めて解説します。


カルテは“診断書の裏付け資料

障害年金では、診断書だけで審査されるケースが大半です。

しかし、以下のような場合は、診断書だけでは判断が難しく、カルテ確認が入ることがあります。

カルテ提出が求められやすいケース

  • 初診日が不明確

  • 診断書の内容に違和感がある

  • 病歴申立書との整合性確認

  • 症状が急に重くなっている

  • 転院が多い

  • 長期間未受診がある

  • 認定日頃の状態確認

  • 医師の診断書記載が簡素

  • 就労状況と診断内容が乖離している

  • 精神疾患で日常生活能力判定に疑問がある

つまり、「本当に診断書の内容どおりだったのか」

を確認するためにカルテを見ています。


障害年金でカルテの何を見ているのか

① 初診日の確認

最も多いのがこれです。障害年金では、

  • 国民年金か厚生年金か

  • 保険料納付要件

  • 20歳前障害か

などが、初診日で大きく変わります。そのためカルテでは、

  • 初回受診日

  • 主訴

  • いつ頃から症状があったか

  • 他院通院歴

  • 紹介状の有無

を細かく確認されています。

精神疾患で特に見られる点

うつ病や双極性障害などでは、

  • 「以前から不眠が続いていた」

  • 「学生時代から対人不安」

  • 「前医で投薬歴あり」

などの記載が重要になることがあります。

現在の病院が初診と思っていても、カルテ上で前医通院歴が出ると、初診日が変わることもあります。

② 認定日時点の症状

障害認定日請求では、認定日時点の状態が非常に重要です。そのためカルテでは、

  • 当時の症状

  • 通院頻度

  • 投薬内容

  • 日常生活状況

  • 就労状況

  • 家族支援状況

などを確認しています。

特に精神疾患では、

  • 引きこもり状態

  • 外出困難

  • 入浴・清潔保持困難

  • 希死念慮

  • 感情不安定

  • 対人トラブル

  • 就労不能状態

などの継続性が見られます。

③ 診断書との整合性

実務上かなり見られています。

例えば診断書で、

  • 「日常生活能力 severely impaired」

  • 「ほぼ終日臥床」

  • 「単独外出不可」

となっていても、カルテには、

  • 「旅行へ行った」

  • 「普通に勤務」

  • 「趣味活動活発」

  • 「症状安定」

などの記載があると、審査側は違和感を持ちます。

逆に、診断書が軽く書かれていても、カルテに重い実態が詳細に残っていると、申請者に有利になることもあります。

④ 就労状況

障害年金では「働いている=不支給」ではありません。

しかし、

  • どの程度働けているか

  • 配慮が必要か

  • 欠勤状況

  • 作業内容

  • 援助の有無

は非常に重要です。カルテでは、

  • 「職場でトラブル多い」

  • 「休職中」

  • 「就労継続支援利用」

  • 「短時間勤務」

  • 「家族送迎必要」

などの記載を見ています。精神疾患では特に、一般就労を安定継続できているかが重要視されます。

⑤ 症状の一貫性

障害年金では「継続的に障害状態だったか」が重要です。

そのため、

  • 急に重症化していないか

  • 申請時だけ悪化していないか

  • 通院中断理由は何か

などをカルテで確認します。

例えば、

  • 数年間ほぼ無受診

  • 薬も中止

  • 社会生活良好

という期間が長いと、審査で問題視される場合があります。


精神疾患では“家族からの情報”も重要

精神科カルテでは、

  • 母親同行

  • 家族からの相談

  • 本人説明不能

  • 金銭管理不可

  • 服薬管理できない

などが記載されていることがあります。これは日常生活能力を判断するうえで重要資料になります。特に、

  • 双極性障害

  • 統合失調症

  • 発達障害

  • 重度うつ病

では、家族支援状況が等級判断に影響することがあります。


カルテ提出=不利、ではない

申請者の中には、「カルテ提出と言われた=落ちるのでは」と不安になる方もいます。

しかし実際には、

  • 初診日確認

  • 認定日確認

  • 診断書補強

目的で行われることも多く、一概に不利とはいえません。

むしろ、

  • カルテに実態が詳細に残っている

  • 家族支援状況が記載されている

  • 日常生活困難が具体的

であれば、有利に働くケースもあります。


まとめ

障害年金でカルテ提出が求められる場合、日本年金機構は主に以下を確認しています。

  • 初診日

  • 認定日時点の状態

  • 診断書との整合性

  • 就労状況

  • 日常生活能力

  • 症状の継続性

  • 家族支援状況

カルテは単なる参考資料ではなく、実際の生活状況や症状経過を裏付ける重要資料として扱われています。そのため、障害年金申請では、

  • 病歴・就労状況等申立書

  • 診断書

  • カルテ内容

の整合性を意識した準備が重要になります。

 
 
 

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